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電話回線がインターネット接続の用途を兼ねるようになり、回線の種類が段階的に進化してきました。アナログ回線からISDNのデジタル回線に移行したかと思ったら、またアナログ回線を使用したADSL回線へと戻るという流れになります。それではこのADSL回線についてご説明します。
一般のアナログ回線を使ったブロードバンド
以前、インターネット回線としてのADSL回線の説明をしましたが、そもそもADSL回線はアナログの電話回線を利用した固定電話の回線なのです。ここでは、主に電話回線としてのADSL回線のご説明をしたいと思います。多くの家庭にすでにあるアナログ電話回線を利用してインターネットが利用できるため、2000年代前半にブロードバンドと呼ばれる高速インターネット回線の先駆けとして普及しました。音声通話で使用しない周波数帯(具体的には高い周波数)を使用してデータ通信を行なう回線のことです。
つまり、音声通話回線としてのADSL回線は、従来のアナログ電話回線とまったく同じものだと考えてもらっていいでしょう。ただ、利用する際はアナログ電話回線の周波数を、音声通話用とデータ通信用に分ける「スプリッタ」と言われる分波器兼混合器が必要となります。さらにインターネットを利用するために「ADSLモデム」と言われるデータ回線終端装置も必要になります。
徐々に契約者が減りつつあるADSL
このように従来のアナログ電話回線を流用できて、しかもダイヤルアップ接続やISDN回線より高速通信が可能なADSL回線は急速に普及していきました。しかし、昨今は携帯電話を含む高速モバイル通信と光ファイバーによるさらなる高速通信(光回線)の普及によって、ADSL回線の利用者は減少傾向にあります。
2015年現在、固定型インターネット回線利用者の8%前後がADSL回線の利用者という調査結果もあります。こういった状況を受け、NTT東日本/西日本ではADSL回線のサービス自体を廃止するのではないかという噂もあるほどです。ちなみに2016年6月には新規受付が終了される予定のようです。このため、今後新たにインターネット回線を契約しようとする人は、他の回線を検討したほうがよいでしょうね。
ただ、こういった状況にもかかわらず、光ファイバー回線の敷設は全国津々浦々に整備されているというわけではありません。現状、ADSL回線しか選択肢がないという地域もありますので、自分が居住する地域で光ファイバー回線を利用できない人は、今後もADSL回線を利用しなければならないということを理解しておきましょう。